常設展示室

第1展示室 目で見る弥生文化

大阪府立弥生文化博物館は、弥生時代を専門に扱う全国初の博物館として池上曽根遺跡の一角に1991(平成3)年に開館しました。常設展示は「目で見る弥生文化」(第1展示室)と「池上曽根ワールド」(第2展示室)で構成しています。
「目で見る弥生文化」は「米つくりの始まり」「新しい技術の誕生」「ムラ・戦い・クニ」「弥生人」「交流」「死とまつり」の6テーマからなり、実物資料や複製品(レプリカ)、映像をとおして弥生文化についてくわしく学ぶことができます。 また、「池上曽根ワールド」では、全国でも著名な弥生時代の集落である池上曽根遺跡の資料を、近年の発掘調査で見つかったものも含めてご紹介しています。

第1展示室リニューアルパース図

ようこそ

時代をさかのぼるタイムトンネルを通過すれば、歴史遊泳のはじまりです。
そこは弥生時代の竪穴住居、4人家族の食事どきの団らん風景が展開されています。

米つくりの始まり

「米つくりのルーツ」「米つくりの技術」の小テーマにしたがって、多くの資料を展示しています。
春の水田・秋の水田の模型が一番のみどころ。春の田起しから秋の収穫や脱穀にいたる農作業を復原し、模型で使われ方が示された農具の実物やレプリカが、その周辺に展示されています。

新しい技術の誕生

「鉄の威力」「銅鐸の鋳造」「生活の中の技術」の小テーマで、わが国がはじめて経験した技術革新の実態を紹介します。例えば、鉄器の威力については、石斧と鉄斧で木を切り出す実験を、オリジナル映像で見ていただきます。また、この時代になって始まった機織りの風景も実物大模型で制作しました。

ムラ・戦い・クニ

「戦い」「権力のシンボル」「卑弥呼の館」の3つの小テーマのもとに、戦争や社会の階層分化などの問題を扱います。
模型<復原・卑弥呼の館>がメインです。
横5m、縦3mの大型模型に、3世紀の卑弥呼の住まい・高殿・政所・倉庫群・環濠・物見櫓や、他国の王の使者・裁きの様子・兵士・市のにぎわいなどの情景をことこまかく描きだしました。

交流

八尾市で出土した船の実物大模型を置いたり、朝鮮半島や中国からの舶来品を展示し、わが国はじめての国際交流の一端を見ていただきます。また、「漢委奴国王」の金印のレプリカも展示してあります。たくさんの資料を、「列島内の交流」と「大陸との交流」の小テーマにわけて見ていただきます。

死とまつり

近畿の組合式の木棺と北部九州の巨大な甕棺の実物を比較して、墓の形式の地域による違いを示します。
弥生のまつりと言えば銅鐸ですが、時代とともに大きくなっていく様子を実物とレプリカで示します。
また、ムラに祖霊を運んできたと考えられている鳥形木製品も展示しています。「弥生時代の墓」「ムラのまつり」「クニのまつり」の小テーマのもとに、弥生人の観念の世界を探ります。

弥生人

弥生人のレプリカや、人面を描いた土器など弥生人の姿を集めました。縄紋人、弥生人、古墳人の身長比較をパネルに表し、弥生人が渡来人の影響を受けて、すこし背が高くなった様子がわかります。弥生人の造形物が多 く、彼らの心性が感じられるコーナーです。ここには八尾市の亀井遺跡から出土した全身骨格によって、はじめて復原された弥生犬の模型があります。公募で「海渡(カイト)」と名づけられました。

シンボルゾーン

「卑弥呼と出会う博物館」のシンボルとして、鏡を掲げる卑弥呼の姿を再現し、20枚の鏡とゆかりの品々を展示しています。

第2展示室池上曽根ワールド

池上曽根遺跡の出土品の土器や国内最大の大型井戸木枠(レプリカ)、大型建物の柱に加え、龍や建物が描かれた土器(絵画土器・建物絵画土器はレプリカ)、弥生時代でもっとも重いヒスイ勾玉なども展示しています。
この展示室は池上曽根遺跡の小宇宙。ここを訪ねると、池上曽根遺跡の全貌が見えてきます。

池上曽根遺跡

博物館は弥生時代の大環濠集落(周りに堀がめぐっているムラ)、池上曽根遺跡にあります。

遺跡の総面積は約60万平方メートル。和泉市・泉大津市にまたがり、うち約11.5万平方メートルが国史跡・史跡公園となっています。

遺跡の発見は、1903年に池上在住の南繁則氏が、石のやじりなど見つけたのがきっかけでした。南氏が発見した長頸壺は、今も第2展示室のシンボルです。
戦後、府立泉大津高校や第二阪和国道内遺跡調査会が調査をはじめ、環濠などを発見しました。祖霊・穀霊を運んだといわれる鳥形木製品、龍など描かれた土器、弥生時代最大級のヒスイ勾玉、現在DNA分析で再び注目される炭化米なども見つかっています。

1995年には、弥生中期の大型掘立柱建物跡(東西19.2m、南北6.9m、畳に換算すると約80畳)と日本最大・最古の丸太くり抜き井戸(直径約2.2m、クスノキ)が発見されました。建物の柱(ヒノキ)の1本は、年輪年代測定法により、紀元前52年の伐採と判明しています。

遺跡は史跡公園として大型建物・井戸などが復元され、池上曽根弥生学習館も開館しています。

YouTubeチャンネル

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